皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
今回、私がFIFAワールドカップ2026を視察し、最も注目していたのは日本代表の戦いです。
日本代表はラウンド32で敗退しましたが、現在の日本代表が世界の中でも確実に上位グループに位置していることを強く実感しました。
日本人選手の特長を生かした戦術、対戦相手を徹底的に分析したゲームプラン、そして周到な準備。いずれも非常に高いレベルにありました。
世界もそれを認めていたのでしょう。会場や街中で海外のサポーターとすれ違うたびに、
「Japan! Very good team!」
「Japan! Nice team!」
と声を掛けられ、ハイタッチやサムズアップを交わしました。そのたびに嬉しさを感じると同時に、日本サッカーを誇らしく思いました。
しかし、ここからさらに世界のベスト8、そしてその先を目指すとなると、まだ大きな課題があると感じたのも事実です。
大会後、「個の力」という言葉を多く耳にしました。私は当初、フィジカルや技術の向上をイメージしていました。
しかし、それだけではないように思います。
味方の状況が変わる。相手の出方が変わる。予定していたゲームプランが通用しなくなる。
そうした瞬間に、ベンチからの指示を待つのではなく、選手自身が複数の選択肢を持ち、その場で最善のプレーを選択する。
そこに、世界のトップレベルとの差があるのではないでしょうか。
日本サッカーは、真面目に、着実に世界との差を縮めてきました。学び、準備し、高い精度で実行する力は大きな長所です。
しかし、世界のトップを目指すためには、想定外の状況に対応し、自ら考え、判断する力が、これまで以上に求められると強く感じました。
ワールドカップを見ながら、私自身もこれまでの指導を振り返りました。
私は「決めたことをやり遂げる」「我慢強く取り組む」「チームのために行動する」といったことを、
選手育成の大切な要素としてきました。それは今でも重要だと思っています。
しかし、指導者の指示をしっかり守る選手を評価するあまり、「自分で考え、違うことをする選手」を
十分に認めることができていなかったのではないかと、改めて気づかされました。
やんちゃな選手の行動に苛立ったこともありました。しかし振り返ってみると、
そうした選手の自由な発想やプレーに、チームが助けられたこともあります。
日本サッカー界ではこれまで、指導者が正解を教えるだけではなく、選手自身が考え、判断し、挑戦することを引き出す指導が求められてきました。
その方向性は、これからも大切にしていかなければなりません。
さらに、想定外の状況に直面したとき、与えられた選択肢の中から選ぶだけではなく、
自ら新しい答えをつくり出す。その力こそが、世界のトップレベルで求められる「個の力」なのではないでしょうか。
そして、選手に挑戦を求めるのであれば、指導者自身も新しいことに踏み出さなければなりません。
チャレンジには失敗がつきものです。選手の失敗を認めるだけでなく、指導者自身も失敗から学び、成長していく。その姿勢が重要なのだと思います。
Jリーグが開幕して30年以上が経過し、日本サッカーは大きく進歩しました。
しかし、100年以上の歴史を持つ強豪国には、長い年月の中で培われたサッカー文化や経験があります。その差は簡単に埋まるものではありません。
だからこそ、北海道の指導者の皆さんにも、これまでの指導のあり方を大切にしながら、
それだけにとらわれることなく、新しい指導方法に挑戦していただきたいと思います。
指導者が自らの経験や発想を生かして新たな指導を試みる。同じものを正確にコピーするだけでは、先人たる指導者を越えることはできません。
時には違う戦術を選ぶ。
時には別の指導方法を探る。
そして、思い切って一歩を踏み出す。
指導者が自らの発想を信じ、新たなことに取り組む勇気を持つ。
そんな環境を、私たち北海道サッカー協会がつくっていかなければならないと感じています。
北海道から、失敗を恐れず、自ら考え、判断し、行動できる選手と指導者を育てていく。
今回のワールドカップ視察で得た一番大きな学びは、そこにあるのかもしれません。
世界との差は、簡単には埋まりません。全国との差も同様です。だからこそ、挑戦する価値があります。
その積み重ねが、いつか日本サッカーを世界のベスト8、そしてその先へ押し上げる力になると信じています。
これからも北海道フットボールファミリーの皆さんとともに、挑戦を続けていきたいと思います。


