皆さんいかがお過ごしでしょうか。
おかげさまでこの「会長のサッカー日誌」も第30回を迎えました。
日頃よりお読みいただいている皆さまに、まずは心より感謝申し上げます。
私たちが北海道サッカーの未来を考えるうえで大切にしたいのは、「強さ」よりも「良い選手を育てること」です。
良い選手が育てば、その積み重ねが必ずチームの強さにつながります。
これは私が40年以上、教育大学サッカー部の指導現場で確信してきた事実です。
短期的な勝利にとらわれず、選手一人ひとりの成長を大切にする指導は、北海道サッカー全体をより豊かにします。
だからこそ、サッカーを“教育の場”と捉え、礼節や判断力を育む姿勢を今あらためて見つめ直す必要があります。
この考えを象徴する出来事が、11月14日の日本対ガーナ戦で見られました。
田中碧選手が偶発的な接触でガーナ選手を負傷させてしまった後、
交代直後に相手ベンチへ向かいアッド監督とスタッフへ謝罪しました。
その誠実な行動は世界中で称賛され、監督は田中選手の礼節だけでなく、
日本人サポーターの姿勢や日本の文化・教育に深い感銘を受けたと語っています。
まさに、日頃の育成が生む“人としての当たり前の強さ”が国際舞台で示された瞬間でした。
先日、JFA法務部の皆さまが来道され、規律に関する勉強会を開催しました。
北海道FAの会長・副会長および規律・裁定委員をはじめ、
地区FAからのオンライン参加も含め約40名が集まり、規律への必要性など関心の高さを実感しました。
勉強会では事案整理の方法や懲罰判断の基準を学ぶとともに、誤った判断が選手の活動機会を奪う可能性があること、
そして規律委員会が「事後の判断」を担う機関である以上、
そもそも懲罰行為を生まない環境づくりこそが最も重要であることを共有する機会となりました。
試合では判定に対する不満や感情が表に出る場面もあります。
しかし「今だけ勝てば良い」という価値観では将来の発展は望めません。
選手が小さな失敗を経験し、反省し、次に正しい判断と行動を選べる力を身につけること、
この積み重ねが大きな問題行動を防ぎ、結果として強い選手の育成につながります。
今回の勉強会と田中選手の行動は、選手の成長を支えるうえで、
指導者や保護者の存在がいかに大きな意味を持つかをあらためて示すものでした。
北海道サッカーの未来は、現場で選手に寄り添い、日々関わり続ける私たち一人ひとりの働きかけによって
形づくられていきます。
これからも皆さんとともに、より良い育成と強化の環境を築いていきましょう。